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こんにちは。中小企業診断士の田中 亮です。
8日、9日は1次試験でしたね。7月末からの全国的な猛暑の中で大変だったと思います。
既に公式解答が発表されていますので、早めに採点をして2次試験の準備にとりかかりましょう。
残念ながら不合格だった方も、近くで2次試験の勉強会をやっているところがあれば参加してみるとよいでしょう。
この時期はこれから2次試験対策をする人、1年かけて2次試験対策のみをやってきた人が混在しますので、来年の成長イメージを掴むことができると思います。

さて、今日は個人的に興味のある知財の問題のみ解説します。
熱が38度ほどあるので間違ったことを書いている可能性もありますが、ご容赦ください。
問題は中小企業診断協会のウェブサイトでご確認ください。
https://www.j-smeca.jp/attach/test/shikenmondai/1ji2015/e1ji2015.pdf

今年は知財の問題が多いですね。
11問44点もあります。
しかも私の独断評価で易5問、標準5問、難1問ですので、32点は目指したいところです。
それでは一つずつ見ていきましょう。


第6問(易)

条約に関する問題です。ポイントは「工業所有権の保護」ですね。
特許や商標といった個別の権利ではなく、工業所有権という広い括りを内容とした条約はパリ条約です。

ちなみに、第2文および第3文は内国民待遇についての記載です。
パリ条約といえば、「工業所有権の基本条約」と「内国民待遇」、「優先権制度」、「各国工業所有権独立の原則」。
これだけ知っていればOKという基本を問う問題です。

他の選択肢も確認しておきましょう。
シンガポール条約は商標に関する条約です。
加盟すること自体は決まっていますが、日本はまだ加盟していないと思います。

特許協力条約は特許に関する条約です。出願手続を一本化する条約ですね。

マドリッド協定は商標に関する条約です。これも日本は加盟していません。マドリッド協定議定書(マドリッド・プロトコル)とは違う条約ですので気をつけてください。

第7問(易)

著作権法に関する問題です。保護期間を問うているあたり、TPPを意識していますね。
この問題は第1文(空欄AとB)が分かれば解けます。
空欄CとDも基本ですが、時事ネタと関係するので第1文が解きやすいでしょう。

著作権の保護期間の基本は、著作物の創作から、著作者の死後50年です。
著作権は登録等の手続を必要としない無方式主義でしたね。
そして終期は死後50年。著作権に限らず保護期間は基本中の基本です。

ちなみに、空欄Cは著作権法28条の二次的著作物の利用に関する原著作者の権利についての問題です。
が、そんなことを知らなくても常識で解けます。

空欄Dは著作者人格権は譲渡できないという論点です。公表権、氏名表示権、同一性保持権は譲渡することができません。

第8問(標準)

商標に関する問題です。ウとエは改正論点ですね。
平成27年4月1日から、新しいタイプの商標として音の商標などの登録ができるようになりました。
ウは動き商標、エは位置商標のことを指していると思われますので、いずれも登録可能です。

アとイは少し悩むかもしれません。
アは商標法第26条の商標権の効力が及ばない範囲について問うています。
自己の氏名を普通に用いられる方法で表示する商標には商標権の効力が及びません。
したがって、商標権侵害とはなります。
ただし、これには例外があって、不正競争の目的で用いた場合はNGです。
例外まで考えると侵害となる場合もありますが、過去の傾向からこの程度では没問等にはならないでしょう。

イは商標の更新の論点です。
商標権は保護期間10年を1単位として、更新によって半永久的に権利をもつことができるというのは基本ですね。
ただ、実際にどうやって更新をするのかまでは知らないかもしれません。
紙を1枚提出して、更新登録料を納付すると更新されます。
形式審査はされますが、実体審査はありません。
ちなみに以前は更新登録の出願といって審査がありましたが、商標法条約へ加盟するために審査不要の更新登録の申請になりました。

第9問(易)

不正競争行為に関する問題です。
15の不正競争行為のうちどれくらい知っているかが勝負といいたいところですが、常識で解けます。
ちなみに、アは誤認惹起行為、イの商品形態模倣行為、ウの周知表示混同惹起行為、エは信用毀損行為です。

ポイントは周知表示混同惹起行為と著名表示冒用行為の違いとなる混同の有無でしょう。
周知表示混同惹起行為は混同を要件とします。
が、そんなこと知らなくても普通に考えれば解けます。

※選択肢イについて末尾に追記しました。

第10問(標準)

商標の係争に関する問題です。
商標の異議申立制度を理解していれば解けます。
今年の受験生であれば改正論点として特許の異議申立制度を勉強しているでしょう。
そこで異議申立ができる期間を覚えましたよね。特許の場合は公報発行から6ヶ月です。
当然、商標の異議申立制度と比較したはずです。商標は公報発行から2ヶ月でしたね。
登録から5年経過しているため、異議申立はできません。
本問のケースであれば無効審判を検討することはできますが、登録から5年経過すると無効理由も制限されるので注意が必要です。

ちなみにアの判定制度は四法ともにあります。
また、エの原簿の確認も警告書が送られてくるなどが合った場合に最初にやることです。
商標法に特有の制度としては、イの不使用取消審判もありますね。また、状況によってはその他の取消審判も検討できるかもしれません。

第11問(設問1 易、設問2 易~標準)

話題の第11問です。
設問1は地域団体商標の改正論点ですね。
地域団体商標は出願人の要件が厳しいですが、平成26年8月から商工会、商工会議所も出願人になれるようになりました。
また、地域団体商標の場合は、全国的に著名である必要はなく隣接都道府県で周知であればよいというのは以前からの基本事項です。

設問2は複合問題ですね。
保護対象が複数の法律で保護できるケースというのはよくあります。
どこから手をつけるのがよいかが悩ましいところですが、確実なところから見ていきましょう。
④は登録の手続が必要とあります。選択肢にある中で登録の手続を要するのは意匠権または商標権ですね。
これでイかウに絞れ、③は自動的に著作権と分かります。
ここまで分かれば、景品表示法やパブリシティ権を選ぶ人はいないでしょうから正答が導けますね。

ちなみにパブリシティ権は人に認められるもので、物には認められません。
ゆるキャラはどういう扱いになるんでしょうね。

第12問(標準)

意匠法特有の制度に関する問題です。
意匠法の勉強は特有の制度を理解することが基本中の基本ですが、本問は少し悩ましいところがあるかもしれません。
簡単なところから見ていきましょう。

エは秘密意匠についてです。
秘密意匠といえば3年ですね。これは絶対に覚えておくところです。

ウは部分意匠についてです。
部分意匠制度は、物品の特徴ある部分について登録を受けようというものですね。

アは関連意匠についてです。
関連意匠制度は、本意匠と本意匠に類似する意匠(=関連意匠)のための制度です。
関連意匠に類似する意匠ではありません。
引っかけのような問い方ですので気をつけましょう。

ここまでは基本的なところです。
最後に悩ましいイの組物の意匠です。
一見正しそうに見えますよね。
どこが違うかというと、「セットで販売される物品であって」という部分です。
意匠法8条の組物の定義は、「同時に使用される二以上の物品であって」です。
組物の意匠では、組物全体の統一性のほうに目がいきがちだと思いますので注意しておきましょう。

第13問(易~標準)

著作権の制限に関する問題です。
著作権の制限については私的使用や引用を勉強する程度だと思います。
が、幸いなことに不適切なものは明らかですね。

アは私的使用についてです。
本問のケースは私的使用が認められない場合として規定されています。
でもそんなことを知らなくても、「違法」「違法」と2回も書いてあって侵害にならないなんてなさそうですよね。
本問は分からなかった人もとりあえずアを選んで正解ということが多いんじゃないでしょうか。

残りも簡単に見ておきます。
イはいわゆる写り込みについてです。比較的新しい改正点です。
ウは時事問題に関する論説の転載等ということで、「禁転載」という表示がなければ転載ができます。
エは美術の著作物等の原作品の所有者による展示についてで、原作品であれば展示可能です。
どれも適切だろうという予想はつくと思いますが、自信を持って解答できる受験生は少ないでしょう。

第14問(標準~難)

著作権に関する問題です。
アを知っていれば簡単ですが、少し細かい論点です。
著作権は複数の権利(支分権)の束と言われますので、譲渡契約で「全部譲渡する」とすることは可能です。
ただし、翻訳権・翻案権等、二次的著作物の利用に関する原著作者の権利の2つは、「翻訳権・翻案権等を譲渡する」というように、特定しなければ譲渡していないものと推定されます。

イは法人著作に関してです。
一定の要件を満たせば法人も著作者になることができ、著作者人格権の行使も可能です。
ただ、本問では要件の1つ(その法人等が自己の著作の名義の下に公表するもの)が抜けているので、疑義はあるでしょう。

ウは改正論点です。平成27年1月から電子出版物についても出版権を設定することができるようになりました。

エは契約自由の原則がありますので、何らかの法規制がなければ可能と考えてよいでしょう。

第15問(易)

特に解説は必要ないですね。


 

2015年8月12日追記

第9問の選択肢イについて、弁理士・中小企業診断士の友人にご指摘をいただきました。
選択肢イは、「他人の商品の形態を模倣したものであるが、その商品の機能を確保するために不可欠な形態を採用した商品を譲渡する行為」で、これは不正競争行為に該当するというのが協会の発表です。
本問の根拠となる条文は不正競争防止法2条1項3号で、「他人の商品の形態(当該商品の機能を確保するために不可欠な形態を除く。)を模倣した商品を譲渡し、貸し渡し、譲渡若しくは貸渡しのために展示し、輸出し、又は輸入する行為」が不正競争行為となります。

まずは条文のかっこ書きを説明しましょう。
これは、「他人の商品の形態」が「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」である場合には不正競争行為に該当しないという例外を定めたものです。
極端な例として自動車のタイヤを考えてみましょう。
ごく単純な円形のタイヤです。
これが「他人の商品の形態」に当たるとしても、自動車のタイヤにとって円形であることは「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」です。
そこでこのような形態を模倣しても不正競争行為には該当しないとされます。

では選択肢イをみてみます。
ここで疑義があるのは、模倣した「他人の商品の形態」が「その商品の機能を確保するために不可欠な形態」であるかどうかです。
たとえば、自動車の全体の形状を考えてみましょう。
今度はこれが「他人の商品の形態」です。
これを模倣した自動車があったとします。
当然自動車ですから、「その商品の機能を確保するために不可欠な形態」である円形のタイヤを採用していることでしょう。
このケースでは、「他人の商品の形態を模倣したものであるが、その商品の機能を確保するために不可欠な形態を採用した商品」ですが、模倣した「他人の商品の形態」は「その商品の機能を確保するために不可欠な形態」ではありません。
したがって、選択肢イは不正競争行為となります。

このように「不正競争行為となる」ケースもありますが、いずれにせよケースバイケースですので不正競争行為となるとの解答が妥当か大いに疑問があります。

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